★歌心を発揮する話

2026/06/18

20代のころ、19歳からプロのサック
ス奏者を目指してプロ入りした僕は、
贅沢は言わず、ジャズであろうが、
ポップスであろうが、演歌であろう
が何でも頼まれた仕事はこなすとい
う姿勢で仕事をしていた。

ドラムのMさんの仕事で、六本木の
TSKCCCというビルにあるクラブで深
夜まで演奏。そのビルは、有名なヤ
クザの町井さんという方のビルで、
エレベーターを上がっていくと、組
員の武闘トレーニング場があったと
聞く。

掛け持ちで、新宿歌舞伎町にある、
夜の帝王というホストクラブで箱に
入っていたのである。やはりキャバ
レーの仕事で、歌舞伎町のホストク
ラブで演奏していた。対バンといっ
て二つのバンドが交代で演奏するシ
ステムだったのだが、 そのバンド
は、なんとジャズコーラスをするバ
ンドで、Four Freshmen のレパート
リーを僕も歌わされていたのだ、僕
は自分の声があまり好きではなく歌
手向きではないことは自覚している。
リードボーカルは、初代ジャニーズ
のメンバーである中谷良さんでさす
がに歌は上手く、スターの雰囲気の
ある人だった。

その対バンの歌謡ムードコーラス
バンドのメンバーの噂が耳に入った。
おい、あのジャズバンドの若いサ
ックスだが、(演奏が)全く歌わな
い、歌心ゼロだな!

何だと? 俺の事か? よくわかった。
俺にも歌心があることを見せてやろ
うじゃないか! 反骨心がむらむら
と(笑)。

と1月間いろいろな曲を心を込めて
演奏していたら、ついにそのバンド
からうちのバンドに入りませんかと
いうオファーが来たのだった、 や
ったぜ!!( 笑)。入らなかった
けど。

時は移り、30代の頃、4年間ほど西
城秀樹の妹としてデビューしたアイ
ドル歌手の河合奈保子さんのツアー
メンバーをやっていた。

地方公演で楽器車が来なくて、町中
から楽器を集めて間に合わせた話や、
いろいろな思い起こすと楽しいエピ
ソードがあるが、奈緒子さんのお相
手として歌っていた男性歌手が、楽
屋で僕のサックスの演奏を、あいつ
は棒吹きだ、歌心がないと噂してい
るのが伝わってきた。

こうして本音で批評してくれる人と
いうのは、一見悪役だが、音楽的成
長に欠かせない人であり、機会であ
る。

謙虚に、より心を打つメロディの歌
い方を工夫して励んだものだ。ミュ
ージシャンの上達は、自分で学び練
習するほかに、自分の技を人前にさ
らしていろいろな人の反応や意見を
聞いて学ぶところにあるのだ。

その頃のファンの皆さんとFBでまた
つながりがあるのも嬉しいことだ。
キンドルブック・菊地康正. 音の旅
路/ジャズサックス奏者50年の軌跡:

リズムと情熱の狭間で。ジャズの
魔法に取り込まれた半生の記録 師
と弟子、音楽と人生。トップアーテ
ィストと共演し、生徒との対話で綴
る半世紀のメロディ。 (KOSE
Books) (p.16). Kindle 版.