僕の師匠の、松本英彦 (ts、fl) は
大正15年生まれで、父と同い年。師
匠から学んだことは多いが、漢方薬
のように、長い時間が経ってからじ
わじわ効いてくることも多い。
師の言葉で印象に残るものは多いが、
「俺は、眠っていてもアドリブだけ
は出来る」、「俺は、フレーズが出
てこなくて困ったことはない、泉の
ごとくに、いくらでも湧いてくるか
ら」は、最近特に、また今日は特に、
共感する。
演奏する能力は、かなりの部分、運
動神経だ。山下洋輔は言った。ジャ
ズは手癖だ。良い手癖を付けなくて
はならない。
僕にとっては、演奏能力は、例えは
変に感じるだろうが、賢い犬を飼っ
ているような感じに近い。
犬は、人間にはない素晴らしい能力
を持っている。嗅覚は人間の200
0倍と言われるし、飼い主に忠実で、
猫とは違う。集団での狩りは得意分
野。
何十年も愛犬を訓練し、今やほって
おいても勝手にサックス、フルート
で自由にアドリブをするようになっ
た。僕の演奏する能力は、別人格で
あり、親友であり、忠犬ハチ公なの
だ。
松本英彦の愛犬も、主人が寝ていて
も、アドリブしてくれる賢い犬なの
だ。
彼の毎日の食事は、良い音楽、それ
も何度聞いても奥が深く、何度聞い
ても学ぶものがあるものでなくては
ならない。
それと、練習なのだが、基本練習、
音出し、音階練習、色々なキーでの
フレーズ練習、それにフルートの場
合は、クラシックのエチュードや、
名曲のおさらいも含まれる。
良い音が出ると、それは愛犬の栄養
だ。毎日の食事(良い音楽&練習)
が臨界点に達すると、爆発的に創造
性が現れ始める。
つまり投入した素材の再構築が、自
動的に始まり、飼い主としては、愛
犬(自分の演奏能力=独立した別人
格を持っている)が、独自の進化を
遂げ、スーパードッグになっていく
のを、にこやかに深い満足とともに、
見守る。
一般の皆様にも解るように表現する
と、自分でも知らない間に、音楽が
どんどん進化してゆくのに、まるで
自分とは違う、独立した人格がそこ
にいるのが感じられたので、以上の
ように表現してみたのだが伝わっだ
ろうか?
僕は知っているのだ。愛犬は、僕の
人生経験を実は栄養にして、成長し
ていることを。
僕の人間としての色々な経験と成長
は、彼の栄養であり、愛犬を成長さ
せる。実は、僕と愛犬はシャム双生
児のように一体なのだ。
さて愛犬とその弟子の成長を確認し
たい人は、菊地の最新のライブ情報
をチェックしてほしい。