●商売の極意、教育の極意

2025/01/07

思い出すのは、自分が小学生時代。昭和4
0年頃だろうか?時は日本が高度成長期に
入りかけのころ、秋田で陳列ショウケース
販売を営む父の車に乗って、いろいろな街
へ商品を配達に回るのに付いて行っていた
のである。

現在の北秋田市(鷹巣町)から八郎潟町あ
たりまで出かけて行った気がする。配達が
終わって父が言う。商店主(お客様)の喜
ぶ笑顔が見られるのが、何より嬉しいと。
その当時にしては都会的に洗練されたデザ
インのショウケースを納品すると、お店は
ぐっとモダンになり、客足や売り上げアッ
プが期待されるのである。

そうか、商売というものは、モノとお金の
やり取りだけではなく、人を喜ばせる仕事
なのだと、その極意を教わった気がしたも
のだ。

昨日は、18年間通うフルート生徒さんで
あるHさんのレッスン。入門されたのは6
0代のころで、現在80代で医師として現
役で活躍されている。

Hさんは、高名な遺伝学の研究者で有り、
スイスのバーゼル研究所で、あのノーベル
賞の利根川博士とともに研究をされていた。
そののち、カナダの大学で20年以上教鞭
をとられていた方で、趣味でフルートをた
しなむ。

D.エリントンのサテンドールを、初心者
にもやさしいテクニックでしかもジャズが
感じられるフレージングのソロを創作して
事前に渡していたので、その譜面に取り組
むことに。

ほぼ所見で、2コーラスのソロを吹き切り、
Hさんのレッスンは終了。Hさんが、ああ
楽しかった。書かれたソロを吹いていると
ジャズをやっている気分になるとのこと。

僕はジャズソロの専門家なので難しいこと
はいくらでも書けるが、簡単でしかも音楽
的で楽しいソロを作るのは工夫がいるもの
なのだ。でも父に倣い、人を喜ばせる仕事
に成功したようだ。終わってからひそかに、
自分の仕事を賞賛する。