8/17 白井敏夫vo, 長谷川根key、菅原正宣b、
菊地康正sax、トミー前田ds
Tony Whitewellこと白井敏雄さんのライブに
参加。初めて知り合った方なので、簡単にご
紹介すると、会社社長、大学講師をしながら
ジャズボーカルを嗜み、今回は多くの友人、
知り合いを集めて一世一代のライブをしよう
ということで、2回の入念なリハーサルを
実施したのち開催。
50名近くのお客様に囲まれての盛大な
ライブになった。
以下は、本人の自己紹介からダイジェス
トでお送りすると、芦屋の生まれの白井さん
は、両親が、洋楽や、ミュージカル好きな
家庭に生まれ、両親が家庭内でダンスまで
たしなむようなハイカラな環境だったとの
こと。
ご自分も、洋楽や、ミュージカル好きな
青年に育ち、自然に、ディーンマーチンや、
フランクシナトラなどのナンバーを歌うよう
になった。さらに仕事でニューヨーク駐在
中に、あるピアノバーで、スタンダードを
現地で歌う機会が多かった。
先日お亡くなりになった、ジャズ評論家
の瀬川先生も若いときにニューヨークに
駐在していて、若きパーカーを生で聞い
ていられた。この現地をリアルに経験
しているのは大きい。
若きジャズ評論家の小川隆夫さんも、
医者の勉強でニューヨーク在住中に多く
のミュージシャンと知り合い評論活動
を始めている。
さて、白井さんの歌われるスタンダード
の数々、知っている曲も多ければ知ら
ない曲もあった。例えば、My fair
ladyのメドレーの曲はどうだろう。
めちゃ懐かしい。
I have grown acustumed to your face
はどうだろう。僕が20代のころ、コル
トレーンやロリンズのコピーに明け暮れ
ていたころ、ロリンズのアルバムにあった
この曲、てっきり古いスタンダードだと
思い、メロディ、アドリブを書き取って
勉強した結果、しっかり脳にインストール
されたのだが、のちに比較的新しいミュー
ジカルナンバーだと知った。
そこで、映画My fair ladyは、美しい
が粗野で下品な下町の方言丸出しの
若い女性を教育して、美しいクイーン
ズイングリッシュを話す洗練された
淑女に育てる大学教授の間に愛が芽
生えるお話である。
主演のオードリーの出演料は日本円
で1億円、1964年の映画である。
僕は、田舎弁丸出しの秋田の田舎出身
の男なのでこの話は胸に刺さる(笑)。
ほかのjust in timeなどもすでにジャズのスタンダードであり、ミュージカルとスタンダードの粋な関係を思う。
Fly me to the moon,All of me と定番のスタンダードは続くが、My funny valentine では、個人的にいろいろな思い出がよみがえる。
特に印象深いのは、20代のころ、ニューヨークの溜息と言われたヘレンメリルさんの日本公演郵便貯金ホールでのMy funny valentineの演奏である。詳
しくはこちらをご覧ください。
英訳を見ても日本人には理解が
難しい歌詞だが、マイルスのFour and
more の同曲や、コルトレーンとジョニー
ハートマンもやっていたのではないだろ
うか?もちろん、フランクシナトラ、
トニーベネットも歌っているだろう。
トランペットのマイルスデイビス自伝を
読むと、若きマイルスもフランクシナトラ
をお手本にして、その歌い方を学んだ
という。
トニーベネットといえば、最近90代
で鬼籍に入られたが、その愛弟子の瀬戸
カオリさんとはご縁があり数年間たびたび
ライブをしてそのトニーさんの偉大な
人柄もよく伺った。
カオリさんは、ビリーホリディほか
いろいろな歌い手のカセットをたくさん
トニーさんから頂き、よく聞いて、
音楽も彼らの人生も勉強しなさいと言
われたという。素晴らしいではないか?
トニーベネットの一世一代のヒット
曲は、思い出のサンフランシスコだ
が、ある時、新聞記者がトニーに尋
ねた。
トニーさん、あまりにも多く、この
思い出のサンフランシスコを歌い続
けて、そろそろ飽きてきませんか?
何を言っているんだね?この曲は、
僕を世界中の多くの素晴らしい場所
へたくさん連れて行ってくれた。飽
きるわけはないだろう?
この偉大な名曲も、ヘレンさんとの共演、
そして今回の白井さんの盛大なライブと
ともに僕の演奏経験リストに収納された。
自分的には過去一番の出来栄えのソロが
演奏できた気がしているのである。
追記すると、白井さんの豊かな交友紳士
録から、神戸から駆けつけてくれた
コルネットの中山さん。
ラジオ関係のお仕事の傍ら、ライブ活動
をされていて、なんと神戸の僕の生徒
さん松尾さんとも知り合いとのこと。
中山さんとその件をお話しすると、
ちょうどライブ当日、午前中に彼女の
レッスンを東京で行っていたのだった。
松尾さんからすぐ情報が入った。中山
さんは、父君は有名な陶芸家で、お
祖父様は、有名な写真家とのこと。
芸術一家ではないか?
ほかにも、元僕の生徒の多田君の
テナーや、ソプラノのプロ級の方が
飛び入りで演奏、白井さんの一世一代
のライブは、素晴らしい友人たちに支
えられて終演したのでした。
そうかこういう白井さんのような人生
も有りで素晴らしいと思わされた一夜
でした。
楽しいライブに呼んでいただきありが
とうございました。メンバー一同楽し
みました。落ち着いたらぜひまた
やりましょうね?