日本人に、ブルースは演奏可能か?

2020/06/15

面白い現象だが、ジャズレコード愛好者という人たちが居る。僕の知っている有るマニアの方は、ビーバップ、ハードバップと呼ばれる時代の音楽が好きで、壁一面にレコードを集め、毎晩楽しんで居るという。どうしても生で聞きたいときは、(かなり落ちるけど)日本人のジャズを聞きに行くそうだ。(笑)

クラシックでも、日本で最高峰の音楽大学を出て、ドイツやイタリア、フランスに留学すると、根本的な音程のとり方や、リズムを直されたりするのは良く聞く話だ。

アメリカの人種差別の歴史があって、最初は奴隷だったアフリカ系アメリカ人は、リンカーンの奴隷解放宣言、キング牧師の時代の公民権運動など、マイノリティの、自由への戦いの歴史から生み出された、泥から咲く睡蓮の花の様な奇跡が、ジャズ、ブルースだったとは、僕の解釈だ。

長年、日本でジャズを演奏してきて、そしてそのルーツミュージックであるブルースに開眼した話をご紹介したい。ロバートジョンソンのクロスロード、エリック・クラプトンのクリーム、B.B.キングのギター、ジェームス・ブラウンやプリンスの音楽を思い浮かべよう。オーティス、アレサ・フランクリンの歌を思い出そう。

また、レスターヤング、チャーリーパーカー、ソニーロリンズ、ジョンコルトレーン、マイルスディビスの音楽を思い出そう。そのルーツはブルースにある。

30代の頃、ブルースがどうしても様にならない、決まらない、自分に納得が行かない悩みが有った。カッコいいフレーズ、ストーリー性のあるソロをやっても、どうしても自分で納得が行かないのだった。

35年前に渡米してニューヨークで4ヶ月間過ごした事がある。そのときに感じたのは、アジア人は、アメリカでは、黒人以上に超マイノリティ。音を出さなくても、存在自体を主張していないと存在できないのを感じた。音を出すと、俺はここにいる!俺は日本人なんだ!というアイデンティティの叫びが音になってゆくのを感じた。

人生を3度生きた女アルバータハンターは言った。あす、部屋代を払いたいけど財布にお金がない、素敵な女性と知り合って素敵だなと思ったけど、人妻だった、その時の胸が潰れる思い、それがブルースなんだよ。

なるほど、そんな思いなら、いくらでも知っている、自慢じゃないけど(笑)。

だんだんとブルースの意味ややり方が分かってきたのだった。自分の人生で感じてきた、俺はここにいるぞ!こんな気持ちを感じてきた、、、それを音に、歌に出せば良いのだ。

つまり今までは、ブルースを学び、ブルースをやろうとしてきたのだか、実はブルースは、皆の心の中にある。カッコいいフレーズの中にブルースが有るのではない。

自分の心の中のブルースに繋がり、素直にそれを吐き出せば、表現すれば良いのだ。ブルースを音楽という言葉に置き換えても同じことだ。皆の心の中にある、人生経験、世界の人びとと、世界に対する愛、それを音で表現すれば良いのだ。その音楽は、皆を感動させるのだ。写真は10年前のソシアルダンス発表会にて。