世界大作曲家妄想会議

2019/07/29

●バッハ:今日は天上から、21世紀の現代を俯瞰して、我々歴史上の作曲家が現代の音楽シーンにもの申し、現代に生きる人々に霊感やヒントを与える意味で普段思って居ることを吐露する機会としようじゃないか?

●モーツァルト:それは良いね?僕は、ある意味死期までの時間が無かったので、駆け足でたくさん曲を書いたけど、今度生まれるときは、もう少し世渡りの才能を磨かないとね?シモネタのジョークだけでは無く。(^^♪

●バッハ;それにしても、理数系の詩人と言われている私に比べ、モーツァルト、君の音楽は、本当に純粋で心を洗うような音楽がほとんどだね?

どこから霊感をもらったのかね?あの美人で可愛い奥さんかね?ふふふ。(^o^)

いやいや、それは愚問だね?心をピュアな状態にチューニングすることで、いくらでも楽想が湧いてくるのだったね?

まあ、僕も、4声の対位法の音楽に第5声をその場で付け加えるのだの訳ない事だが。

神から特別な音楽を理数的に扱う頭脳をもらって生まれてきた。

そこに数学的な音の構築に、高貴な詩情を載せたのが私の苦労した所だ。

いや実は苦労などしていない。何時もすいすい書いていた。

若い頃に先輩作曲家を徹底的にまねし、分析し、勉強したから。

遠くの街まで出かけて当地の音楽家とジャムセッションしては、ホテルに帰ってから、その夜聞いた音楽を1時間分記憶で書き写したりしたものだ。

現代の音楽家は、機械が発達したぶん、聞き取りや、記憶力が、弱くなった。

世渡りだったらヘンデルを紹介するよ。彼は商売最高に上手いから。

●ベートーベン:天賦の才に恵まれたお二人さん、僕は霊感はなかったけど、何時も消去法で、この音じゃないはずだと推敲して推敲して、耳が聞こえなくなっても、音楽を作った。

でも著作権思想や、自分を売り込むことは僕から始まったと言っていい。皆さんは、貴族の囲われ者だったからね?

僕は、不器用で女性にモテることは無かったけど、何百年も経って我々の音楽が模範となり愛され続けて、人々の心を潤し続けて居るのは素晴らしい。神のみ技だ。アーメン。

神*そうぢゃ。皆さん、自分が頑張ったと思っている人はいないと思うが、すべてわしが、皆さんのレベルに合った霊感を送って、それをキャッチして作品にしてる訳なんぢや。

自分を、如何に高い次元にチューニング出来るかがポイントだ。まあ、釈迦に説法ぢゃが。

●ジョージガーシュイン:偉大な作曲家の皆さんに若輩者が僭越ながら登場させて下さい。僕も、脳の病気で、30代までしか生きられなかったので、急いでたくさん作曲した。

ポピュラーソングがたくさん売れたし、今でもスタンダードとして親しまれているのは嬉しいことだけど、ちゃんとオーケストレーションを学びたかったので、ラヴェルやストラヴィンスキー先生の門を叩いた。

だけど、2流のラヴェルやストラヴィンスキーになるくらいなら、一流のガーシュインになれば?と言われて、奮起して自分で勉強したんだ。

ラプソディインブルーや、オペラ、ポーギーとベスは命をつぎ込んで使い果たした。

僕らはユダヤ人だ、モーゼが紅海を渡って生き残り、欧州でも追い出されては色々な国を放浪し、ヒトラーからは大量虐殺されたけど、日本人の杉原千畝の様な助けてくれる人もいて、ついにアメリカにたどり着いた。

われわれユダヤ人は実業で成功してる人も多いが、特に音楽や科学で才能を持った人たちが多い。全ては教育と、聖書の神をを、そのまま信じていることから生まれるパワーだね?

●ジョンレノン:ちょっと待った。僕は一介のソングライターだけど、僕の作る曲は、英語圏だけではなく、世界中で愛されている。いつまで経っても世界から戦争が無くならないから、音楽でみんなを平和にしようとしたら、殺された。

●モーツアルト:ジョン、君の作曲は素晴らしい、僕がもし20世紀に生まれていたら、坂本龍一と3人でライバルだったかも知れないね?

ジョンレノン微笑んで頷く。

●プリンス:こんにちは、プリンスです。クラシックもロックンロールも素晴らしい。だけど20世紀は実はポピュラー音楽の源流は我々黒人から出ているんだよ。

ブルース、黒人霊歌、ゴスペル、リズムアンドブルース、そしてジャズ、ハウス、ピップホップはリズムだけでメロディがないからつまらないという人がいるけど、現代の気分を表している。パープルレインや、ペイズリーパーク、パレードの音楽を聴いて欲しい。僕はマイルスともセッションしたんだ。

●バッハ:ハーイ、プリンス、実は君の音楽のファンなのを告白させて欲しい。

僕とは違う領域だけど、コード進行とグルーブするリズム、魅力的なメロディ、見せるバンドプレイ素晴らしいね?

僕らの時代にはCDもコンピューターも無かったから、音の記録は残ってて居ないけど、ブーレやジーグなどは実はアフリカ人の舞踏だったのだよ。

●プリンス:バッハ先生、それは嬉しいです。ぼくも貴方の音楽は大ファンなんですよ。

バッハ、微笑んで頷く。

●スティービーワンダー:良いな、目の見える人は。

僕はもともと目が見えないけど、メロディやコードの動きや色彩がよく見える。神様が目の代わりに与えてくれたんだね?

プリンス、君もも多作だけど、僕も生涯に数百曲を作っている。やはり高校生の時作っマイシェリーアモールから、ユーアーマイサンシャインオブマイライフ、パートタイムラバー、レイトリー。みんなに愛されているのは嬉しい、光栄なことだね?

●武満徹:こんにちは、武満徹です。スティーヴィーやプリンス、君らと同席できて嬉しいよ。

バッハ先生、モーツアルト、ベートーベン、ジョンレノン、今日こんな風に会えるなんて夢のようだ。

今日は無礼講だ。赤ワインは如何ですか?

良いよね?こういう我々天才同士の会話って、何でも直ぐ通じるから。お互いに無限に尊敬し合っているこの場は最高だね。

僕はみんなと違って、倍音列で言うと、40倍とか60倍のみんなの聞こえない周波数の音が元々聞こえるのでその周波数帯で気持ちいい音楽を最初から作って居た。

日本の評論家や音楽界が、僕があまりにも時代の先を行きすぎていたので誰も理解できなかった。コテンパンに酷評されたときは応えたよ。

だけど、ロシアの大作曲家、ストラヴィンスキー先生が、日本で見所があるのは武満だけだと鶴の一声を掛けてくれたので、ノーヴェンバーステップスから始め、最終的には世界的に僕の音楽が認めて貰えた。

でもポピュラー音楽の世界は、基本的に、ハイドンやモーツァルトの時代と何の変わりもない一般大衆が相手なのでね?

親友の井上陽水なども、武満さんは、気持ちいい音を一切避けて作曲をしていると今でも言われて僕は笑っているだけだった。

だからこの世を去る前に、美しいシャンソン風の曲をたくさん作ったよ。

いつ終わるともなく、大作曲家たちの会議は、お互いを讃え、人々の心をいかに豊かにしていこうかと、果てることの無い議論は続くのだった。

神は、それを見て微笑んだ。

お断り:この文章はフィクションです。