九州の、クライアントからメールが届いた。
・・・・・菊地先生(彼は僕の著書で、サックスを学んでいた人でもある)、リフェイスして頂いたアルトメヤーマウスピース届きました。さっそく試奏した所、信じられなくよく鳴るマウスピースに変身していて驚愕しました。隣の部屋で聞いていた音楽素人の妻も驚いたくらいです。ありがとうございました。・・・・・
さて、昨日は、菊地道場師範代の二人、熊川、片岡の、伴奏ピアノ特訓レッスンだ。その前に、熊川のイシモリアルトメタルマウスピースの調整をする。
以前ボア(マウスピースの内径、形状)を広げたことで、音が太くなり、地元群馬でもキャノンボールアダレイみたいだと評判らしい(^^)。
この日は、不安がる彼女を大丈夫だからと説得して、因みに、最近のリフェイスのクライアント25名からは、今の所クレームは無く、全員感謝の声を頂いている、2本のイシモリメタルのリフェイスを試みた。
熊川の、手の舞足の舞、ストリートダンスを踊りだす、驚きようを動画に撮っておけばよかった。仕上がりに驚くことと言ったら(^^)。
余りにも楽に小さな音も大きな音も、豊かな音も少ない息で吹けることに驚愕していた。
ポイントは、テーブルからフェイシング(リードの当る面のカーブ)の始まる所の形状にある。
これ以上は企業秘密なので言えないが、PPPPからfffに至る反応が敏感になり、音の豊かさとヴォリューム、コントロールの自在さが手に入ると言ったら、全てのサックス吹きの皆さんも興味あるのでは無いか?
興味のある方は是非こちらへ。菊地康正のサックスマウスピースリフェイスのページ
http://kose-sax-flute.jp/Sax%20Reface.html
さて、コロンブスの卵という記事で言及した通り、コード感を付けるには、コードを弾けば良い。
この簡単な原理に盲目だった自分を深く反省し、菊地道場では、サックス、フルートの生徒さんにも、ジャズピアノ、伴奏ピアノのレッスンを、施し始めた。
サックス、フルートだけでは、協和音の気持ち良さ、不協和音をブレンドした時の現代的な響きの気持ち良さの会得は難しい。
ピアノを弾いて自ら経験した感覚だけが記憶に残り自らの音楽財産となる。
銀行の預金残高も大事だが、脳内の音楽財産こそが真の音楽家の財産である。
預金残高では、仮に負けても、脳内音楽財産残高では絶対負けない自負がある。
生徒さんの反応も、上々で、今までサックスで練習したコードパターンも、ピアノを弾くことで、感覚として理解できる、音楽の世界観が変わった、広がったという方が増えているのが嬉しい。
僕の勉強したジャズピアノ関係の本は色々あるが、特におすすめは、デルボ社の翻訳本、現代のピアノスタイル/ジョンミーガンだ。写真、今は絶版。
アートテイタムに源流を発するストライドピアノ、西部の酒場のホンキートンクピアノを思い浮かべたら良いだろう。
そして、バドパウエル、モンク、エヴァンズに至るモダンピアノの、コードの押さえ方を詳述した本で、僕もしっかり勉強した。
また、ブルースコードで、ブギウギや、ベースのランニングを左手でやる方法を書いた本もある。
遅ればせながら、自分は一流の伴奏ピアニストでもあると自覚した日。もちろんソロはやっていないし下手である。
何故なら、ソロはサックス、フルートでやったほうが早いので本気で練習する気になれなかった、というよりパワーはサックスフルートに注いできたのだ。
世界的レベルの世良譲さんと親しく数年間ご一緒させていただいた幸運な経験も貴重な財産。あれだけゴージャスな音色で、ピアノをスイングさせる人を知らない。
世良さんとの出会いも忘れられない。僕は、不肖ながら松本英彦の弟子、近くに師事して師匠の音楽遺伝子を受け次ぐ人間である。
僕の演奏に、松本英彦の面影を発見して涙ぐむ世良さんを見逃しはしなかった。
日本人でありながら、ジャズの最先端を走り抜けた、松本英彦と、それに仕えた世良譲には言葉に出来ない深い歴史が有ったのだろう。
あとを走る我々は、無かった所に道を切り拓き世界を広げてくれた、偉大な先輩達に、深い感謝の念を捧げつつ、ジャズの伝統を守り、後進を育てて前に進んで行きたい。
世良さんを経験して以降、どんなピアニストも、地味で、スイング感が足りなく聞こえてしまうのだ。
幸運な副作用として、世良さんのように指は動かなくても、ピアノを弾いてスイングさせるタイミングは耳と体が覚えているので、僕のピアノは、生徒をスイングさせる。乗せられてしまうリズムを生み出すのだ。
この感覚、技能を伝えることこそ、豊かな音楽性を持った管楽器、打楽器、歌手を育てるだろう。
果たしてこの事に気がつくのが遅かったのか、ベストタイミングだったのかは、今後の僕の動きの結果が教えてくれるだろう。