大坂なおみの全豪オープン優勝から音楽を考える

2019/01/28

昨夜は、女子テニスの大坂なおみが、全豪オープンで優勝して、表彰されるシーンを見ていて、感動していた。自分は、一般スポーツには疎い方だが、なおみは、強いだけではなく、キャラが可愛らしく、以前からファンだったが、やってくれた。

日本人は忠臣蔵が大好きだ。
主君は、虐げられて、辱めを受けて、切腹させられる。それを、家臣が、艱難辛苦の末、主君の仇を討つ。それは幕府から見ると違法な事だったので、四十七士は切腹を命じられる。
大石内蔵助一同は、これであの世で主君に顔向けできると、全員晴れやかに切腹し、民衆はやんやの喝采を送る。日本人は、仇討ちに強く共感するDNAを持つ。

大坂なおみは、母は日本人、父はハイチ人で、そのルーツは多分アフリカだろう。アフリカ中南米にルーツを持つ日本人が、西洋人を打ち負かして勝利するのは、太平洋戦争後、戦争が終わっているにもかかわらず、インドネシア独立に力を貸す旧日本兵を思い出す。旧日本兵は赤穂浪士である。

同じ血を引くものが世界の強豪を打ち負かして勝者となるのに、感動に震えない者はいないだろうが、さらに感動するのは、勝者となっても、対戦相手に、あなたと対戦できて光栄ですと、相手の健闘をたたえ、尊敬の心を忘れないその心の気高さに感動するのだ。

まだ20歳のあどけなさを残す若い娘が、どうしてそこまで強く、同時に素晴らしい気高い心を持っているのか。同じ日本人として、深く誇りに思う。彼女に深い愛情を注いだ両親、祖父母を思う。

戦争には光と影があり、一概に良い悪いと言えないのはもちろんだが、日本が戦った事で、戦後、アジアアフリカに独立の気運が高まり、列強の世界支配、植民地の時代は、次第に姿を変えてゆくのだった。

さて、大坂の試合、鋭いサーブや、玉の打ち合い(笑)を見ていて、そのスピード感に圧倒される。

つまりこういう事だろう。

相手の取りにくいコースを狙って玉を返す。どこから来てもいいように、瞬時に球筋を読み、移動して、返すだけではなく、相手が返すのが困難な、しかもちゃんとエリアに入るように返すコースを計算、判断し、打ち返す。

これをお互いにやっていくので、体力、肉体的技術及び、脳の、判断力、作戦の立案能力、失敗しても後を引かない切り替えの良さなどの総合力での戦いとなる。

これは何かに似ていないか?そう、音楽の組み立てに似ていなくも無い。

クラシックにおける、主題と変奏。主題を徐々に解体して組み立て直し、別の要素を付け加えて聞き手は、サグラダファミリアのような、偉大な建築物の外観、一つ一つの柱、壁、彫刻などのディテールを一つづつ味わうような時を過ごすだろう。

さて、ジャズの即興演奏では、テニスの球筋を読んで、不可能な角度を計算し打ち返すような作業は、演奏中、常に行われる。

それは、メロディの断片を演奏したのち、奏者の頭の中では、これを聞いた聞き手の反応を想像する。それ呼応するメロディを創作する、またはそれを裏切るメロディをあえて提出する。

人間が、繰り返しを好む性質は本能的なものである。

右足を出したら左足を出して歩く。心臓は、左心室と右心室が交互に収縮し、2または4拍子を生まれてから終わりの時までリズムを刻む、男と女、夜と昼、良い悪い、交感神経と攻撃態勢、副交感神経と休息、睡眠というふうに、互い違い、相反する者、反対のものがあって全ては成立する。

繰り返しだけでは、飽きるので、そこには冒険、意外性、驚き、スリル、適度なストレスも人生には必要なように、音楽にも、先読みできる部分と、意外性のバランスを取る事が必要になってくる。

音楽にスリルを作り出す天才は、トランペットのマイルスデイビスにとどめを刺す。

ついで、セロニアスモンク、ソニーロリンズ、ビルエバンスだろう。これは個人的見解である事をお断りする。

マイルスの生演奏は、生涯に3度聞いたが、先読みし、聞き手の予想を裏切りまくっていく、その裏切りの美学は、他者を寄せ付けず、音楽知能は、または、脳味噌の運動神経の良さ、多くの可能性の中から、瞬時に、最もスリリングで魅力的な音を選び取る、能力、音楽知能は、バッハに匹敵する。

マイルスの生演奏を体験した者は、酒や麻薬などと比べものにならない次元の高い陶酔を経験し、虜になる人が多いだろう。

歴史上の作曲家の、天才度は、時代によって知識知恵が蓄積されていく事を差し引いても、まずバッハ、ついでモーツアルト、ベートーベン以下たくさん。

現代のソングライター、サウンドプロデューサーとしては、ガーシュイン、コールポーターの後は、ジョンレノン、ステーヴィーワンダー、プリンス辺りだろうか。これも全くの個人的見解である。

そして実業投資の世界では、ネット上の便利な決済を実現させたペイパルを創業し、ファイスブックの未来の可能性に投資し、資産を数千倍に増やしたピーターティール。

30万円の元手から、ジョーソロスと組んでクァンタムファンドで、有望な会社に投資してやはり資産を数千倍に増やした伝説の投資家ジムロジャーズ。

国を挙げてエンジニアを育成し、ファーウエイなどIT4社だけで、アメリカのITトップのマイクロソフト、グーグル、フェイスブック、アマゾンに迫る勢いの中国共産党の、時代の先を読む能力は、日本人は見習わなくてはならない。

経済大国の自己満足から脱出、不毛の30年のトンネルからの脱出である。

大阪ナオミを生み出した日本人よ、日本人らしいやり方で、先を読み、気高い心で、知恵を絞り、幸福度でも、産業でも芸術でも音楽でも、偉大な勝者となって、世界に貢献しようではないか。

さて、今週2/2赤坂トナリテでは、KOSE 菊地 のライブが開催される。

スリルと、啓示、癒しを体験したい方、人生に光を求める方のみ、集合してほしい。詳細は、こちらへ