不思議な皆さん

2018/10/16

一昨日ののフルートセッションに、生徒のKさんをご招待。クラシックフルートの先生に付きつつ、現在サックスを勉強中。

Kさん曰く、スタンダードナンバーを、次々とアドリブソロをとっていく皆さんを見て、先生、あの「長い音楽を暗譜で吹いている」のは、すごい記憶力ですね?

・・・あ、あれはね?・・・・・

決まった音楽、書かれた音楽を暗譜して吹いているのではなく、コード進行(和音の並び)を見て、その場で思いついたメロディや分散和音を繋げて音楽をその場で生成しているのですよ。

そうだ、思い出した。あるライブをやっていたら、ジャズを全く知らない音楽ファンの方が、休み時間にステージにやってきて、今演奏した曲の楽譜を拝見できますか?と言うので見せた。

Amとかアルファベットしか書いていない譜面を見て、これだけの記号からあのすごい音楽を演奏していたのですか?

はい、そうです。頭の中はどうなっているんだ?信じられない風だった。

僕のフルート曲集、ザフルート19号は、フルートのアドリブがたくさん載っているので、色々な教室でその通り吹いて発表会などで演奏されたらしい。韓国では僕のサックス教本で音楽大学を受験した人も多い。

あるフルート教師の方がこう言ったという。菊地さんはいい加減なフルート吹きだ。譜面通り吹いて居ない。^_^(大笑い)

この曲集は、僕の演奏はほぼ即興であり、演奏したものを、アルソ出版の天才的に耳の良い編集者が書き取り、譜面化したものだった。即興演奏は、瞬間的に作曲して行くものなので、譜面にできないところがある。

つまり、譜面を見て吹いたのではなく、吹いたものを譜面にしたので、どうしても一致しないところは出てくるものなのだ。

クラシックの世界では、作曲と演奏が、200年前に分化したので、演奏家は譜面を読むものという文化が定着した。

ジャズ、ポピュラー音楽では、演奏家が作曲して、ジャズ屋は、毎日、メロディを作曲する。それはアドリブと呼ばれている。全く違う文化、脳の使う場所が全く違う。

話は変わるが、黒人ミュージシャンで、譜面は読めない、または読まないという人は多い。長い事来日していたDというベーシストは、大学生の時、あのグラミー賞の黒人歌手のアルジャロウに声をかけられたという。

今度ベースのオーディションがあるから来ないか?と言われ、飛行機に乗ってオーディション会場へ行くと、うじゃうじゃと60人のベーシスト。

競争して勝ち残った奴を尊敬するのがアメリカ人。奴らはNO1が、大好きだ。

彼は最終の2名に残り、もう一人のメチャ譜面の強い白人ベーシストを蹴落として、アルジャロウの正式ツァーメンバーになるのだが、全く譜面の読めない奴だった。耳と記憶だけで生きていた。ベースはうまかった。そのあとサンボーンバンドなどで働いたあと、来日していた。元気だろうか?

最近知ったのだが、天才ギタリストジミヘンドリックスや、ビートルズ、エリッククラプトンなども全く譜面は読めないそうだ。

ヘンドリックスは、譜面が読めないので、マイルスとリハーサルのとき、ピアニストにコードを弾かせて、こうやってくれと伝えると、全て正確にギターで再現、マイルスに、あんなに音感のいい奴は初めてだと言わせた。

譜面を読めないアメリカ人のバンドでやった事があるけど、リハーサルは間違いなく大変な事になる。だけど、音はその分生き生きしている。

色々な音楽の関わり方があるものだ。

ザフルート19号はこちらで購入できます。