ソニーは、米国で最も早く認められた企業と言われている。1970年代にβとVHSの熾烈なビデオ企画戦争があった事を覚えている人もいるだろう。僕はβ派で、今でも現役でビデオデッキは動いている。
当時アメリカでは、刑事コロンボと、刑事コジャックという人気番組が同じ時間帯に放送されていた。
ソニーの創業者の一人盛田昭夫さんは、英国から名誉大英帝国勲章を贈られているが、ソニーのβマックスを持っていれば、コロンボを見ていても、コジャックを見逃すことはないですというCMを作り放送。
これに激怒したのがハリウッドで、テレビで放送したものを録画できれば映画館へ行かなくなると、ソニーは、著作権の侵害だと提訴されたのです。
森田さんは慌てず騒がず、法廷で戦う事を選びます。
DVDや、ビデオのレンタルが出てきたときも映画関係者は、もうこれで終わりだと落胆したそうですが、逆に売り上げは増えているといいます。流通の形態はどんどん変わるのでしょう。
法廷闘争では、マスコミは、日本対アメリカという図式で、日本憎しで捉えていました。ところが、森田さんは次のように訴えたのです。
これは、日本対アメリカの話ではありません。ソニーのβマックスを使えなくなることで最も不利益を被るのは誰でしょうか?それはアメリカ国民です。つまりこれは自分たちの利益を守ろうとするハリウッドと、映画やドラマを楽しみたいと願う純粋なアメリカ国民との戦いなのです。
裁判では一審はソニー勝利、二審ではハリウッドが勝利、最高裁では、5対4でソニーが勝利します。
その後ソニーは爆発的に売れ、ソニーはアメリカの会社だと信じているアメリカ人は多い。
森田さんが、ハリウッドに訴えられた時、コソコソと尻尾を巻いていたら、現代は違っていたかもしれません。
最終的な勝利を見据えていた森田さんの先見の明と勇気に見習うものは多い。
ダイヤモンド社、世界を作り変える男イーロンマスク、竹内一正より。