岡本太郎は、芸術は爆発だと言った。彼の本は好きでよく読んでいた。
何も無いところから創作をする?
何も無いのではなく、全ては有る。
全てがあるところから持ってくるのであろう。
30年前の僕の参加したアルバム「Good bad girl」奧慶一を購入して聞いた。自分の演奏、サックス、フルートは?その時代なりに完成している。特にフルートはいい。サックスは懸命にマイケルブレッカーのフィールを盗んでいたが、今の耳で聞くと、
もっとジャズをやれ、
KOSE、暴れて良いよ、もっともっと冒険しろといいたい(笑)。
サックス・マシーンズはおもちゃ箱だ。
もし僕が、マイルスくらい大物なら、ナベサダくらい有名なら、ある程度オリジナル曲をやっても良いだろう。
聞いてくれる人もいるだろう。
そこまで達していない我々は、まずお客様の知っている曲で、こんな風にもできますよ、違う料理法がありますよと言うところで独自性を見せなくては・・・。
すごい演奏技術があるのに、自分のオリジナル曲にこだわっているつまらないライブをよく見かける。お客は僕も含めて、知っている曲がたくさん聴きたい。
半分は皆が知っている曲をやるのがいいと自分の場合は思って居る。
ジャズミュージシャンはジャズだけやるべきとか、ちゃんちゃらおかしい(笑)。
むしろジャズじゃない世界に名曲はたくさん転がっている。
ポリスの見つめていたいは大好きな曲だが、あの曲の魅力は、あのギターのオスティナート(リフ)。
これをサックスセクションでやるとどうなるのかを考えて譜面を書き続ける今日この頃。
なんだあれはロックじゃないかと言う人は了見が狭い。
スティングはジャズが大好きで、ブルータートルというアルバムでは、ブランフォードマルサリス(ts)やケニーカークランド(p)が参加してジャズフィーリングが最高のアルバムだった。
ポリスはウエザーリポートの曲をやったりしていた。
ケニーカークランド(p)は昔日野さんが連れてきて全国数カ所を一緒に回ったものだ。
移動のバスの中で、僕のでもテープを聴かせたら、You know chords!て言われたのは嬉しかったなぁ(笑)。
アレンジのネタ探しをしてアィデアを練るとき、苦しいと言えば苦しいし、音楽の女神の降臨を待つこのワクワクはなにものにも代え難い楽しみでもある。
即興演奏で、脳内のアィデアを次々に楽器かr出してゆくのは、まるで水道のホースから出る水を上手に壁にぶつける感じだが、創作のアィデアを待つ時間は、雨乞の祈祷師が天に向かって祈りを捧げている時かもしれない。
祈って居るように見えて、水面下では、今までの色々な曲、アィデアの高速スキャンが行われているのだ。何も無いのではなく、全ては有る。全てがあるところから持ってくるのである。有る場所は自分の脳内だ。脳は受信機で宇宙からカモネ?
演奏はすでに楽しくてしょうがない仕事(趣味)段階となったが、創作は、別次元の苦しくも楽しい仕事、いや仕事と言うより、異次元からの受信交信、祈祷の作業かも・・・。
さて否応なくライブの日は迫ってくる。
僕は忘れない。昼間作曲して、夕方までにサックス4人とバンド用に編曲して、その夜できたての曲を初演したときのことを。
曲は、Spring wind (春の風、アルバムサックス・マシーンズに収録)僕の生まれたての曲を演奏するメンバーと感動し、賞賛するお客様を見たとき。
親が我が子が独り立ちして歩いて行くのを見るような、不思議な幸福感が湧いてきたことを・・・・・・・。
20年以上前のこと。
さて、僕が脳みそを絞り出す作業の結果は、5/25秋葉原東京タックで聞ける。
一人でも多くの方に聞いて新鮮なショックを受けてもらいたいと、家でにやにやする今日この日。